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「御言葉はあなたの近くにあり、あなたの口、あなたの心にある」(ローマ10・8新共同訳)
西村隆君が左足の親指1本でこの本を書きました。 この本の書評を書くことはできない、というのが私の本当の気持ちです。 彼の語りかけはやさしく、ユーモアに富み、人間の最も重い課題である「生と死」について語ります。 私と彼との関係は、福祉を志す出発点となる神戸聖隷福祉事業団への就職及び 私の牧する和田山地の塩伝道所活動への参加、そして福祉の現場のただ中での発病と退職、 それから今日までの関わりというそれだけの理由でこの本について語ることが許され るのであろうと考えます。 体の機能のすべてを奪われ、しかも知的活動が完全に残り、余命すら宣告されると いう生き方が可能なのでしょうか。 かれはその可能性について語っているのです。 当然のように彼は自分の信仰について語ります。 キリスト者が自分の信仰を語るとは、このように語るものであると教えられました。 彼の思考力と精神はかみそりのようにとぎ澄まされるのです。 この極限状態から語られる言葉は彼ただ1人のものですが、 彼はまた読者に向かって、あなたも語ることがゆるされていると語りかけるのです。 それは人には誰も存在をゆるされており、従って存在価値があるのだ。 人はすべて固有の人生があり、ドラマを持つがそれは決してその1人のものではないと。 私たちは生と死の狭間で、きわめて困難な問題解決の道を模索しています。 この本で、彼との対話の中で、その難題に取り組むことができるのです。 早く読んでください。彼もあなたとの「生きた対話」を望んでいるからです。 日本キリスト教団和田山地の塩伝道所 牧師 土 肥 隆 一 (クリスチャン新聞2004年9月19日号掲載)
by doiryuu3
| 2004-09-21 11:02
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